あなたのネタは「映像」になるか?


ベストセラー『お片付けの魔法』はなぜテレビ向きなのか


私はテレビ業界の放送作家ですが、本を出版させてもらったご縁で、最近は出版業界に知り合いが増えました。そのため編集者の方から「本をテレビで紹介してもらえませんか」といわれることがあります。


しかし、多くの本は画にならないのです。


もちろん100万部を超えるベストセラーであれば、ドラマ化するなり、イメージ映像をつくって、その世界観やノウハウを再現することはできます。

ただ、ディレクターがそこまでして映像化するのは「100万部売れているベストセラー」で「公共性」があるからです。数万部の売上実績しかない本にテレビがそこまですることはまずありません。


もちろん画になる本もあります。「ダイエット」や「肩こり解消」、「料理」といった視聴者の興味を惹きつけるテーマで、映像になる内容の本ならば、ベストセラーでなくても紹介することがあります。「尻トレ体操」といった本や、「作り置きおかず」といった本であれば、数万部レベルで取り上げることが可能です。なぜなら映像になりやすいテレビ的な内容だからです。


2010年に出版され、全世界でミリオンセラーとなっている近藤麻理恵さんの『人生がときめく片付けの魔法』(サンマーク出版)は、きわめてテレビ的でした。


本が出版された当時、私自身、近藤さんの本をTBSの午後の情報番組で紹介する台本を書きました。一般家庭を訪ねて近藤さんが実際に主婦に「ときめくか否か」を聞いたうえで、クローゼットのビフォーアフターを紹介するといった内容です。


近藤さんがアドバイスする前と後の映像的変化、他人の家の中をのぞき見する感覚、すっきりと片付いて喜ぶ主婦のリアクション……、画にならないわけがありません。


とりわけ映像に劇的な変化のあるビフォーアフターは、テレビではよく放送されます。朝日放送テレビ「大改造!!劇的ビフォーアフター」を始め、女性タレントの「30日間ダイエットチャレンジ」「カリスマヘアメークアーティストによる主婦の大変身」といった、前後の変化を見せる番組が多いのはそのためです。


あなたもビフォーアフターが見せられるなら、そのことをぜひ、プレスリリースに書いておいてください。


その後も、近藤さんの本は、各局の情報・報道番組で紹介され続けました。『人生がときめく片付けの魔法』がミリオンセラーになったのは、その内容が素晴らしいものであることや編集者の力も大きかったのでしょうが、テレビとの相性が抜群に良かったことも影響しているのではないでしょうか。


激辛グルメが繰り返される理由



テレビの世界では「文豪の愛した温泉」より、「サルに愛される温泉」のほうが画になりますし、数万円もする高級な精進料理より、500円で食べられるもやしとキャベツと豚肉が山盛りのラーメンのほうが画になります。


すでに亡くなって写真しかない文豪より、雪深い露天風呂で気持ち良さそうな表情をするサルのほうが数十倍、画になります。冷たくて動きのない精進料理より、ラーメンのほうが数字をとるのも同じ理由です。


ミスト状の湯気がたなびき、豚肉からキラキラ光る肉汁がしたたるラーメンのほうが、実際のカロリーだけでなく映像的なカロリーがはるかに高いため、画になるのです。


一時期、スープの出来が悪いとドラム缶でつくったスープをすべて倒して捨ててしまう、頑固おやじのラーメン屋にテレビ取材班が殺到したことがありました。それもテレビ的に画になる美味しい画だからです。


あまりに取材が殺到したため、最後の方はほとんど煮込んでいないスープをぶちまけるような状態となり、それでは視聴者にバレバレのヤラセとなってしまうので、やがて取材攻勢は収まりましたが、あなたの商品もそうした画になる仕掛けを考えられれば、取材が殺到することでしょう。


グルメでいえば、当然、レポーターが食べてリアクションするといったアクションがありますし、それが超激辛料理であれば、辛さにのたうちまわるタレントの苦悶の表情や噴き出す汗が撮影できます。


私が担当していたテレビ東京の「TVチャンピオン」の激辛王選手権は、刺激の強い激辛料理を食べることで食道や胃といった消化器がダメージを受け、出場者の健康が危ぶまれる可能性があったため、プロデューサー判断で、数回目で止めましたが、令和の今となっても激辛料理にタレントを挑戦させる番組が後を絶ちません。

それは、激辛料理を取り上げると、それだけカロリーの高い強い画が撮れるためです。

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テレビ取材を受ける方法

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