コラム:テレビマンは何を基準にネタを選ぶのか?


あなたの商品を、テレビ番組に取材させるためには、テレビマンがどのようにしてネタ選びをしているのかを知っておくと採用率がグンと上がります。


原則として、テレビ番組のスタッフは自分たちで情報を集めています。


情報を集めているのは、取材に赴くディレクター自身であったり、アシスタント・ディレクターであったり、放送作家であったり、リサーチャーであったりします。


リサーチャーとは文字通り、調べ物をする専門家で、「働き方改革の法整備について調べてほしい」といったリクエストに応えたり、不確実な情報の裏付けやエビデンスをとったりする、いわゆる「裏をとる」のが本来の仕事ですが、実際のテレビの現場ではネタ探しの際にもっとも重宝されています。


彼らがネタを集めるために見ているのは、最近はネット情報がほとんどです。


番組やコーナーのテーマが決まっていれば、検索するだけで情報をとれるのですから便利になりました。


他に、新聞や雑誌、フリーペーパーやタウン誌、あるいは他のテレビ番組からネタを集めることもあります。街を歩いて見つけたネタは、独自ネタとして価値を持つため、そうした街ネタをストックするのが得意な人もいます。


では、それらの膨大な情報から、テレビマンはどのようにしてネタを取捨選択しているのでしょうか。


テレビネタの取捨選択を決めるのは「数字」



結論からいってしまえば、答えは、ずばり「数字(視聴率)が採れそうかどうか」です。


もちろん、「視聴者に役立つ」「社会正義に役立つ」といった基準もあります。しかし優先順位でいえば、テレビマンの多くが「数字につながるかどうか」をダントツで第1位に挙げるでしょう。


そういってしまうと、テレビの世界は、やはり「視聴率至上主義」なのだと批判されそうです。

確かに民放テレビ局の社内を歩けば、廊下のそこかしこに赤で縁取りされた視聴率の書かれた、たくさんの紙が目に飛び込んできます。


番組ごとに仕切られた巨大なフロアにも「3週連続、横並び(同時間帯)トップ!」「今年度最高視聴率14・8%獲得!」といった紙が番組のブースごとに貼り出され、スタッフを鼓舞していますし、テレビマンが朝一番にやることもパソコンで視聴率をチェックすることでしょう。


実際に視聴率の高低はテレビ局の収入に大きく影響を及ぼし、番組の存続に関わってきます。また担当したコーナーの数字が良ければ自らの評価につながるため、多くのテレビマンが、わずか0・1%の違いに一喜一憂します。


しかし、1人1人のテレビマンが視聴率を気にするのは、それだけが理由ではなく、もっと単純で、根源的な理由があると私は考えています。


その単純で根源的な理由とは、どんなことかわかるでしょうか。


その理由とは「数字をとると、うれしい」です。


時間外労働は当たり前、ときには3日ほど徹夜が続いたりするような、テレビの世界に飛び込もうと考える人の多くは「より多くの人に何かを伝える」ことが大好きな人たちです。


激務のなかで彼らを支えているモチベーション、それこそが「これを1人でも多くの人に伝えたい」想いなのです。


テレビマンの本質は「伝えたがり」


「これ面白いから、みんなに伝えたい」


「これ便利だから、みんなに伝えたい」


「これ許せないから、みんなに伝えたい」


「これ美味しいから、みんなに伝えたい」


「これ知ってほしいから、みんなに伝えたい」


「これ感動するから、みんなに伝えたい」などなど。


それらがテレビマンのモチベーションです。


興味本位で低俗と批判されるワイドショーのゴシップ報道だってそうです。


「知ってる? 山田とA子、付き合っているらしいぜ」と、友人に吹聴してまわる中学生と同じで、自分が知ったことを「みんなに伝えたい」想いが、テレビマンの根源にあるのです。


どれほど多くの人に伝えることができたか、その結果がわかるのが視聴率に他なりません。だからこそ、局の経営にはとくに関心がない私のような末端のテレビマンまでが数字に一喜一憂します。



読者の身近な例でいえば、SNSの投稿に「いいね!」が大量につくようなものです。視聴率が10%であれば、「1000万いいね!」がついたようなもの。


人気ユーチューバーのHIKAKINさんや、インスタ女王の渡辺直美さんをしても、一度に「1000万いいね!」を集めることは到底できません。


いかがでしょう、あなたのSNSの投稿に「1000万いいね!」がついたら、しびれませんか? それがうれしいからこそ、休日返上のナレーション書きにも耐えられます。もしかしたら業界で働くうちにテレビマンはみんな「いいね!ジャンキー」となってしまっているのかもしれません。


テレビマンの本質は「伝えたがり」なのです。その昔は、近所にかならず1人は「あの人に教えちゃうと、ご近所中に広まっちゃうのよ」といわれる、〝スピーカーおばさん〟がいました。


テレビマンもそれと同じ。「知ったからには、多くの人に伝えたくてしょうがなくなる」性分を持った、〝スピーカーおばさん〟の集りだと考えていただいてよいかもしれません。


誰かに伝えたくなるネタをテレビは求めている



そのように考えればテレビマンが、どのような基準でネタを選んでいるのかが、見えてきませんか?


そう、「伝えたがり」であるテレビマンは自分が「多くの人に伝えたくなるようなネタ」、あるいは「多くの人に知ってもらいたいネタ」を選んでいるのです。


そうであれば、あなたはテレビマンが「思わず、人に伝えたくなる」ようなネタを提供しなければなりません。


そういうとハードルが高そうに聞こえるかもしれません。


しかし、あなたにだって思わず、人に伝えたくなることがあるはず。


「こんな驚くこと」「こんな面白いこと」「こんな共感すること」「こんな感動すること」を知ったら、きっと誰かに伝えたくなるはずです。


「こんなキレイなもの」「こんなカワイイもの」「こんな珍しいもの」を見聞きしても、誰かに伝えたくなるでしょう。


テレビマンの場合も同じ。


ただ、より多くの人に伝えることが使命であるがゆえに、数百万~数千万人に「伝えるに足るかどうか」をどうかの判断基準のハードルを高くしているだけです。


いかがでしょうか、あなたがテレビでPRしたい商品には客観的に考えて「第三者が他の人に伝えたくなる」特徴があるでしょうか。

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