
プレスリリースのタイトルはキャッチコピーではない

タイトルとは「見出し」です。見出しは、一目見て、どんな内容が記事に書かれているかがわかるものでなければなりません。
センスのある人ほど、コピーライターが考えるような、おしゃれなキャッチコピーにしてしまいがちです。
しかし、それでは中身が伝わりません。
たとえば「いつだって私たちは、時の流れの中にいる。」と書かれていたとして、何を伝えようとしているか、あなたはわかるでしょうか。
実はこちらは、2019年に日本コカコーラが出稿した緑茶飲料「綾鷹」の新聞広告のキャッチコピーです。
元号が令和に変わったタイミングで日の丸をイメージした紅白の背景に「綾鷹」の緑のボトルが置かれたビジュアルがあり、そこに「いつだって私たちは、時の流れの中にいる。」と書かれて初めてコピーライターが伝えたいことが、なんとなくわかってきます。
しかし、文字だけ見ても、緑茶をイメージすることはできません。
プレスリリースのタイトルは、このようにブラッシュアップされた、おしゃれな言葉である必要はありません。中身がストレートに伝わるような「ベタ」な言葉で構わないのです。
こんなタイトルはイヤだ!
タイトルに「×××株式会社、デジタル複写機の生産拠点を中国からベトナムに移転」といった風に社名を入れるのはよく見られるパターンですが、正直なところ、字数の無駄にしかなりません。
よほど有名であったり、話題性があったりする企業以外は、タイトルに社名を入れるのは避けてください。
一般人にはわからない専門用語や業界用語もタイトルには使用しないでください。
テレビマンも一般人であり、特定の業界でしか通用しない言葉は通じません。
あいまいな言葉もNGです。新しさやすごさを強調しようとして「斬新な」「まったく新しい」「すばらしい」「かわいい」「驚くような」「きれい」「美味しい」「究極の」いった言葉で修飾しても伝わりません。
同じように「たくさんの」「いっぱい」「とても大きな」といった量を表す表現は、「どれくらいの量」なのか、受け取る人によって異なってくるため、プレスリリースのタイトルには使わないようにして、本文で具体的な数字を挙げることで説得力を持たせるようにしましょう。
よく「タイトルは短ければ短いほどいい」といった声があります。
その通りではあるのですが、プレスリリースでもっとも怖いのは「なんだか、よくわからない」と思われること。
ですから短さにこだわるのではなく、「中身がわかること」のほうにこだわってください。ただ、改行が必要なほど長いものは見出しとはいえません。一行30字ほどでまとめるようにしてください。