映画「君の名は。」に学ぶSNS活用

映画「君の名は。」の風速を活かした聖地のケース



最終興行収入が250億円を超える記録的大ヒットとなったアニメーション映画『君の名は。』。その舞台となった岐阜県飛騨市は、映画の舞台となったことを、上手に街のプロモーションに結びつけていました。


映画が公開された2016年の飛騨市の観光客数は、実に100万人以上。市の人口は2・5万人ですから人口の40倍にあたる人々が、全国から「聖地巡礼」に訪れた計算になります。


当初、地元の人々は「なぜ、これほど多くの人が来ているのか」わからなくて戸惑ったといいます。飛騨市には映画館がないため、街の人は何が起きたのか、わからなかったのです。


しかし、その後、市の観光課と地元の人々が映画の追い風を活用、今ではインバウンドも含めた観光名所となっています。


『君の名は。』はテレビ番組ではありませんが、映像メディアの影響力をPRに結びつけた好例ですので、どのようなことを実際に行ったのか、その顛末をご紹介しましょう。


ウェブサイト「自治体通信オンライン」のインタビューに応えた、飛騨市商工観光部の横山理恵さんによれば、映画の舞台に選ばれていることを同市の観光課が知ったのは、封切りのわずか1ヶ月前のこと。


予算が用意されていなかったため、費用のかからないSNSを最大限、活用したそうです。


公開前に「この映画の舞台はどこなのだろう?」といったツイートを見かければ、「ここではないでしょうか?」と街の画像を添えてリツイート。


すると公開前には「舞台は飛騨市!」とものすごい勢いで拡散。公開直後から聖地巡礼に訪れる人が急増したそうです。


「映画の世界を体験したい」観光客の「おもてなし」も考えました。


映画ではバス停のシーンがありましたが、その前年、バス路線が見直されたためにバス停の標識が撤去されていました。


そこで急遽、役場の倉庫にしまってあった標識を映画と同じ場所に設置するといった対応はその1つ。そのことをSNSで報告したところ、「神対応だ!」とSNSで大きな話題となりました。


映画に登場する飛騨市図書館では、もともと図書館内の写真撮影が禁止されていましたが、受付で許可申請すれば撮影OKとしました。


その写真がSNSで拡散されたことで、さらに高い注目を集めるようになったのです。


他に、バスに乗り遅れた巡礼者を地元の人が自家用車で駅まで送ってあげたり、お土産に野菜を持たせてあげたりといった、巡礼者と地元の人々の温かい交流も、SNSで話題になりました。


市の観光課が意図していなかった部分までSNSで広まっていったのです。


これらは予期せぬ効果まで生み出すSNSの力が、今の時代のPRに欠かせないものであることを物語っているといえるでしょう。

放送作家が伝授!

テレビ取材を受ける方法

© 2020 by Akihiro Ishida